
認定保育士資格が創設されるっていうニュースをみたのですが、とっぺ先生なにかわかりますか?

そうですね、私もニュースで認定保育士という新たな資格が創設されるということを知りました。ちょっと色々と調べてみましたので、私なりの見解含めてご案内しますね!

ありがとうございます!
この記事はこれから創設される資格制度のため、まだ決まっていない部分や曖昧な表現を含みますのでご了承ください。令和6年5月からワーキンググループで議論されていくとのことなので、内容が分かり次第どんどん更新していきます!
認定保育士とは?
近年、保育園などで増加している発達障害や不適切保育などの課題への理解が深く、その問題に対応できる保育士が「認定保育士」資格を付与されるようです。
これは発達障害・不適切保育対応の専門職という位置づけでしょう。

いわゆる現在の保育士の資格のオプション職といったイメージかと思います
いつから開始されるの?

簡単なロードマップを作ってみました。令和6年5月ワーキンググループの立ち上げが行われ、 年度内にワーキンググループにより、研修カリキュラムを作成、令和7年4月から制度開始のようです。実際の資格の取得はカリキュラム修了後となるため、早くても令和7年度の後半となりそうです。
国家資格なの?
認定保育士資格制度は、東京都内の保育事業者や学校法人などが令和6年4月に設立した一般社団法人”日本保育連盟”が創設しています。

いわゆる民間資格という位置づけですね
保育士関連の民間資格の類似例でいうと、医療保育専門士、運動保育士、絵本専門士、幼保英語士などもあります。詳しくはこちらの記事も参考になりますよ。
認定保育士資格を作った目的は?
日本保育連盟によると、4つの大きな目的があります。
保育士の専門性の向上
認定保育士資格取得を目指すことで、保育者はより高度な専門知識やスキルを身に付けることができます。

ADHD(注意欠如・多動性障害)やASD(自閉症スペクトラム)など発達障害の問題を抱える子ども(保育園児)は増加傾向で適切な知識で対応・支援できる保育士の育成が急務ということでしょう。
私の経験でも、特にASD傾向の児童は特別な支援やアセスメント、早めの発見が必要となってくるケースも多いです。
保育士のキャリア形成の支援
認定保育士資格は保育士のキャリア形成を促進し、キャリアパスの拡大と個々の成長を支援します。
保育士の待遇向上
認定保育士は高度なスキルを持つことが認められ、これに見合った待遇や評価が受けられることが期待されます。

専門資格の取得促進によって、低いといわれている保育士業界の給与のベースアップも狙いといえそうですね。
保育士の定着率の向上
保育士の専門性ややりがいが向上することで、保育現場での働きがより魅力的になり、保育士の定着率が向上することが期待されます。

児童福祉業界の業務は対子ども相手が中心ですが、どうしてもルーティン仕事になりがちです。これを何年も続けると、変化がない職務が続き、やはりモチベーションは下がっていくのも確かにあります。
この状態に新しいやりがいや職務としての立場、スキルアップで自己の保育士としての価値を高めるきっかけを作るのは大切だと思います。
資格の取得方法は?
10ヶ月の研修期間が必要とのことです。令和6年の5月からワーキンググループによって検討されるようなので、詳しい研修内容はまだ先の話だと思います。

保育士等キャリアアップ研修というものが保育士にはありますが、その研修スキームに近いものになるかもしれません。
資格取得要件は?
まだ明らかにされていませんので、予想に過ぎませんが・・・
- 児童福祉施設(保育園・児童発達支援センター・放課後デイサービスなど)に勤務する保育士資格を有する者
- 保育士としての実務経験が◯年以上ある者
- 認定資格研修を修了した者
このあたりを組み合わせてかなと予想しています。
認定保育士制度に関する様々な声
制度創設に関する様々な声(メリット・デメリット)を集めて、まとめてみました。
- 発達障害については昔に比べて増えてきている上、様々な研究が進んでいる。保育士のアップデートは必要
- まずは保育士業界全体の給与のベースアップや処遇改善が必要かと
- 認定保育士資格が施設にいることによる、人員配置要件の緩和や定数変更などのインセンティブが必要
- 発達障害やグレーゾーン、不適切保育など様々な不安を持つ保護者にとっては、とても安心材料となる
- 日本保育連盟の他にも既存団体がいるわけで、他の団体も研修などの実施をしている。そことの関係は?
今後の期待点をまとめました!

あくまで私の見解です!
保育士等キャリアアップ研修と重複?
保育士等キャリアアップ研修との共存により、現役保育士に負担がかかっていかないことを望みます。研修の時は職場を空けることになるため、他の同僚保育士との調整も必要なのですが、それも現場保育士としては結構しんどいものです。
個人の専門スキルだけではなく、保育園・保護者全体にメリットのある資格になって欲しい!
”個人の専門性が高まりました”ではなく、それが保育園運営に活かされ、そして保護者に還元される資格となって欲しいです。
例えば就学前相談、いわゆる小学校に進学する際の特別支援のクラスや通級教室に通わせる適否のアセスメントに活かさればと思います。通常級にいったものの、クラスに適応できない児童はかなり多いです。この認定保育士の存在によって保育園等から学校への児童の適正に応じたスムーズな移行につながって欲しいなと願っています。

この資格の存在が自治体の教育委員会と連携できるとベストですよね。担任に入るというより保育園のソーシャルワーカー的立場になれると支援に厚みができそうです。
既存の保育士資格所有者との格差拡大
待遇面の改善が目的に掲げられていますが、認定保育士だけでなく保育士全体の給与ベースアップは必要という課題は資格の有無にかかわらずあるかと思います。この資格が創設されることによって、給与のベースアップや処遇改善の牽引役となって欲しいです。
またこの類の資格というのは、中堅で仕事ができる人ほど業務が忙しく研修に行く時間がない、仕事に余裕のある人ほど研修ばかり行っているというのも、業界でよく見る光景です。研修期間10ヶ月というのも、カリキュラム数や時間帯によっては、取得すべき人への時間的なハードルが上がってくることが想定されます。
本当に取るべき人が業務多忙でとれずに、他の保育士がとってしまうという、いびつな格差や不満に繋がらないことを願っています。
今後の情報元は?
今後の情報はワーキンググループが作られるようなので、そのワーキンググループの進捗情報や結果の報告をみるのがよいかと思います。日本保育連盟のサイトで報告をしてくれるといいですね。
もう一つは、東京都議会の答弁なども今後、情報元としてあり得るかもしれません。日本保育連盟の会長は元東京都福祉保健局の局長(児童福祉管轄のトップ)が務めています。東京都の政策に親和性があれば、関わってくることもあるでしょうし、東京都議会定例会等で議員から都への質問も入るかもしれません。そういったところも情報源となるかもしれませんね。

色々と教えてくれてありがとうございました!なんか今日は見識者っぽかったですね。

ははは、ありがとうございます、まぁ行政経験も長いので児童福祉政策には結構詳しかったりします。

ワーキンググループに入ればいいのに(笑)

声かけてくれないかなぁ(笑)。
まぁそんなところで本日は認定保育士制度のご案内でした。最初はなんでも批判や課題はいっぱいあるもの、それを超えた先にきっと保育士のよい未来があるのかなと私は思ってます。
また色々な情報が発信されたら更新していきます!